労働基準法①総則

◆労働条件の原則(1条)
①労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない。
・雇入れは労働条件には含まれない。
・「人たるに値する生活」とは一般の社会通念によって決まる・その標準家族をも含めて考えるべきとされる。

②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

◆労働条件の決定(2条)
①労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである。
②労働者および使用者は、労働協約就業規則及び労働契約を遵守し誠実に各々その義務を履行しなければならない。
労働協約労働組合と使用者またはその団体との間で労働条件等に関して合意したもの。
就業規則使用者が事業場における職場規律や労働条件を画一的に定めたもの。労働者に周知させることによりその効力を発する。
・労働契約…個々の労働者と使用者との間で労働条件等に関して合意した契約。

[効力関係]
法令労働協約就業規則労働契約
上位で定める各基準に達しない条件等の部分は、無効とされ、上位基準が適用される。
労基法で定める基準に達しない労働条件を定める契約の部分を無効とする労基法の効力…①強行的効力
・無効となった部分を労基法で定める基準にすることとする労基法の効力…②直律的効力
・①②をあわせて…規範的効力

◆均等待遇(3条)
使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない。
・有利、不利⇒一般の社会通念による。
・労働者の国籍信条又は社会的身分による差別的取扱いは禁止
 ⇒それ以外(性別等)を理由とする差別的取扱いは禁止していない。
  ※4条及び男女雇用機会均等法に禁止規定あり

◆男女同一賃金の原則(4条) 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
・有利な扱いをする場合も含む。 ・就業規則に差別的取扱いをする趣旨の規定があっても現実に差別待遇の事実がない場合には、その規定は無効だが本条違反とはならない。

◆強制労働の禁止(5条) 使用者は、暴行脅迫監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
・違反したら労基法で最重罰が科される(1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金)
・精神または身体の自由を不当に拘束する手段…長期労働契約、労働契約に付随する賠償予定契約、前借金相殺、強制貯金等

◆中間搾取の排除(6条)
何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
・目的…ピンハネ等の不当な賃金搾取を職業安定法とともに禁止すること。
・法律に基づいて有される場合…職業安定法、船員職業安定法又は建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づいて有料職業紹介を行う場合。
・「業として」…主業・副業を問わず同種の行為を反復継続すること。
 ⇒一回の行為であっても反復継続する意志があれば該当する。
・「労働者派遣」⇒労働契約__関係(派遣元&労働者間)+指揮監督関係(派遣先&労働者)が労働関係となる。
 ⇒労働関係外にある第三者(派遣元、派遣先、労働者)が他人の労働関係に介入するものではない。

公民権行使の保証(7条)
使用者は、労働者が労働時間中に選挙権その他の公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。
但し、権利の行使または公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
【公民としての権利】
①選挙権・被選挙権
最高裁判所裁判官の国民審査
特別法国民投票
憲法改正国民投票
行政事件訴訟法による民衆訴訟 等
[認めれられないもの] ①個人としての訴権 ②他の立候補者のための選挙運動 等
【公の職務】
議員の職務
労働委員会の委員の職務
労働審判の職務
裁判員の職務
検察審査員の職務
民事訴訟上の証人の職務
選挙立会人の職務
[認めれられないもの]
予備自衛官の防衛又は訓練招集
②非常勤の消防団員の職務 等

◆適用事業
労働者を使用する事業または事務所は、原則として労基法の適用を受ける。
(1)適用事業の単位等
場所的観念によって決定すべきものである。
⇒同一の場所にあるもの=一個の事業、場所的に分散しているもの=別個の事業とされる。
⇒日本国内で行われている事業であれば、事業主又は労働者が外国人であっても労基法の適用がある(※法令又は条例に特別の定めがある場合を除く)
(2)適用除外
船員法第一条第一項に規定する船員
同居の親族のみを使用する事業および家事使用人
※家事使用人
(〇)法人に雇われ、その役職員の家庭でその家族の指揮命令下で家事一般に従事している者。
(×)家事を請け負う事業主の指揮命令下に、派遣先の家庭で家事を行う者
(3)特別法による適用除外
国家公務員…一般職の職員
地方公務員…一般職の職員についての一部

◆労働者(9条) この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所(以下「事業」という)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
(1)法人等の役員
・事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者(代表者等)=労働者に含まない
・重役委で業務執行権又は」代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあたって賃金を受ける者=労働者に含む
(2)請負、委任
・使用者との間に事実上の使用従属関係にある者=労働者(契約の名称を問わない)
(3)学生(インターンシップ生)
事業場と使用従属関係にあり、直接生産活動に従事しその利益・効果が当該事業場に帰属している場合=労働者

◆使用者
この法律で「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。
・「事業主」…法人の場合=法人そのもの、個人事業=事業主個人 をさす。
⇒事業の経営の主体 ・「事業の経営担当者」‥法人の代表、取締役、理事 等。
⇒事業経営一般について権限責任を負う者
・「労働者に関する事項について、事業主のために行為するすべての者」…人事部長 、労務課長 等。
労務管理の実施等について一定の権限を有し責任を負う者。
・使用者としての責任の所在
移籍型出向の場合…すべて出向先が負う。(出向先との間にのみ労働契約関係が存在するため)
在籍型出向の場合…三者間の取り決めによって定められた権限とその責任に応じて、出向元&先が負う。(出向元&先との間にのみ労働契約関係が存在するため)
派遣労働者に関する労基法の適用
原則派遣元が責任を負うが、下記事項については例外(※労働派遣法44情において労基法の適用に関する特例に定められている)
①労働派遣の実態から派遣元に責任を問い得ない事項
派遣労働者の保護の実行を期する上から派遣先に責任を負わせることが適切な事項
Q.派遣先が責任を負う事項はどれ?(2つ)
(×)労働契約
(×)賃金・割増賃金
(×)年次有給休暇
()公民権行使の保障
(×)災害補償
()労働時間、休憩、休日
(×)就業規則

◆平均賃金
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
(1)平均賃金の算定を基礎とするもの
解雇予告手当
休業手当
年次有給休暇の賃金
災害補償
減給の制裁の制限 等
・「支払われた賃金」…算定事由発生日において既に債権として確定しているものを含む。
・賃金締切日がある場合の平均賃金算定の起算日=直前の賃金締切日
[例外]
次の場合、実際に労働した日数が少ない場合その額が極端に低額となる可能性があるため。
①日給制、時間給制、完全出来高払制等の場合
→(原則の式)or(3か月間の「労働した日数」で割った賃金×100分の60)で高額になるほうを平均賃金とみなす
②月給、週休制等と日給、時間給、出来高払制等との併用の場合
→(原則の式)or(3か月間の「労働した日数」で割った賃金+①の式)で高額になるほうを平均賃金とみなす

(3)平均賃金の算定の基礎から除外される期間や賃金
①期間中の日数及び賃金の両方とも算定基礎から除外(12条3項)
(a)業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
(b)産前産後の女性が65条の規定によって休業した期間
(C)使用者の責に帰すべき事由によって休業した期間
(d)育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間
(e)試みの使用期間
②賃金総額の算定かの基礎から除外
(a)臨時に支払われた賃金
(b)3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
→この判断は賃金の計算期間が3か月を超えるか否かによるため、年俸制の場合は賞与を含めた額の12分の1を1ヶ月の賃金として平均賃金を算定する
(c)通貨以外のもので支払われた賃金で、法令または労働協約の定めに基づかないもの
→通勤定期券の支給が労働協約の定めに基づき6か月ごとに行われている場合は、各月分の賃金の前払いとして平均賃金算定の基礎に加える必要あり

(4)平均賃金の算定事由発生日
解雇予告手当
→労働者に解雇の通告をした日
・休業手当
→その休業日(2日以上にわたるときはその初日)
年次有給休暇の平均賃金
→その有休を与えた日(2日以上にわたるときはその初日)
・災害補償
→事故発生日または疾病の発生が確定した日
・減給の制裁の制限額
制裁の意思表示相手方に到達した

労働基準法違反の契約(13条) この法律に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。 →労基法で定める労働条件の基準=最低限度のもの →その基準を上回るものに関しては有効

◆契約期間(14条1項) 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の①②のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える機関について締結してはならない。 ①専門的な知識、技術または経験(専門的知識等)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就くものに限る)との間に締結される労働契約 ②満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(①に掲げるものをのぞく)

(1)期間の定めのないもの →本条での制約はない(労働者はいつでも解約する自由があるから) □定年制=not期間の定めのない労働契約(終期を定めているだけ) (2)期間の定めのあるもの 労働契約は、3年を超える期間については締結してはならない。 →下記の例外を除き、3年以上の労働契約を締結した場合その期間は3年とされる(法13条による) [例外] 3年を超える労働契約をていけるできる ①一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期事業) →その終期までの期間なら可 ②認定職業訓練を受ける労働者との労働契約 →職業訓練を修了するまでの期間内なら可 ③次の(a)(b)に該当するものとの間に締結される労働契約 (a)高度の専門的知識等を有する労働者 (b)満60歳以上の労働者

◆期間の定めのある労働契約の更新及び雇止め(14条2項) ①厚生労働大臣は、期間の 定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。 ②行政官庁は、①に基準に関し、期間の定めのある労働契約をて家kつする使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。